機械工学専攻複合メカニクス部門・

     波動現象学領域(吉岡研究室)の紹介

担当教員:吉岡宗之准教授

研究室公開

日時:42(月)14:00 ~17:003() 10:00~17:00

場所:機械系M3-113

 

 当研究室では,計測・制御工学的な観点から,流体管路システム,音響システム,超音波システムおよび電磁波(光を含む)伝送システムなど,いわゆる分布伝送路システムにおける周期的な波動現象,および過渡現象の解析を行っている.そこで,現在すでに進行中の研究,および2007年に向けて企画中の研究について概要を紹介する.

 

I.            進行中の研究課題

l         各種管路系における共鳴現象と共鳴周波数

 地中に埋まったガス管やプラントの配管など管路長や管径を直接計測することが困難な管路系に対し,音波の共鳴現象を利用してそれらを計測することが目的である.管端から音響的刺激を与えるとある周波数で管内の音波の振幅が非常に大きくなり,この現象を共鳴現象といい,またこのときの周波数が共鳴周波数である.

これまでの研究では上図にあげたような直管,テーパ管,分岐管,異径管の共鳴現象を調べてきた.共鳴現象を調べるのには管端の圧力源を入力,管内の任意の点での圧力を出力と取った伝達関数を用いる.伝達関数はオイラーの方程式をラプラス変換して波動方程式を導き,それを圧力について解き境界条件を適用することで得られる.周波数領域において伝達関数の絶対値が音波の振幅を表し,共鳴現象はこの伝達関数の分母の絶対値が極小となることに対応する.下図は直管と異径管の共鳴時の圧力振幅の例である.

 

 

 

l        管路系における詰まり(狭窄)の位置の計測

 上の研究の応用であり,管路系の詰まりの位置を音波の共鳴現象を利用して計測することが目的である.詰まりの代わりに管路の途中に絞りがあるものとして扱う.絞りの位置を求めることを念頭に置きながら,絞りが管路系の共鳴現象にどのような影響を与えるかを調べている.

下の図はある共鳴周波数における管内の音波の圧力のゲインをプロットしたものである.絞りが十分に大きい時は絞りの位置に閉塞端があるとした場合と似た共鳴現象が起こり,その類似性から絞りの位置が計測できる.

 

 

 

II.        2007年に向けて企画中の研究課題

l        流体制御システムの波動現象解析とそのシステム構成への応用

 流体制御システム,流体計測システム,音響システムなどにおいて,その波動特性は分布定数伝送路の端の条件(伝送路端の条件)に大きく依存する.この研究では,既に知られている各種の伝送路端の条件における解析例に基づき,望ましい特性を有する系をいかに実現するかを明らかにすることを目的とする.

 

l        冠状動脈における分流現象の解析

 心臓を覆う冠状動脈は血流を通じて心筋に栄養と酸素を供給する動脈である.大動脈から右冠状動脈と左冠状動脈が分岐し,左冠状動脈は短い主幹部を経て,前下行枝と回旋枝に分かれる.さらにこれらの主要な三枝は分岐を繰り返し,毛細血管となって心筋を覆い尽くすことになる.

 この研究では,左冠状動脈の主幹部や,右冠状動脈,左冠状動脈前下行枝,同回旋枝の分岐部,あるいは分岐部に近い部分(近位部)に狭窄を生じた場合に,血流にいかなる変化が生じるかを解析するモデルを作ることをめざす.

 

l        モーダルアナリシスの流体システムへの適用

任意のシステムにδ関数状の入力を加えると,その過渡応答が得られる.その応答をフーリエ変換すると周波数応答になる.それゆえ,分布定数システムに入力としてδ関数を加え,その過渡応答を高速フーリエ変換(FFT)すると,原理的には無限個の共振ピークを持つ周波数応答が一気に得られる.しかし,現実には理想的なδ関数入力を作り出せないので,この手法を実際のシステムに適用するには種々の問題を生じる.そこで本研究では,このモーダルアナリシスを流体管路システムに適用するための問題点を,解析的な手法で検討する.